山田念珠堂NEWS

山田和義 数珠の話(9)様々な菩提珠 鳳眼・龍眼・虎眼・蓮華・天竺

これまで星月菩提樹、金剛菩提珠のお話をしてきましたが、今回はこの他に「菩提珠・菩提樹」の名前を持つ玉について紹介いたします。

●鳳眼菩提珠・龍眼菩提珠・虎眼菩提珠

 ブッダズ・アイとも呼ばれる鳳眼菩提珠・龍眼菩提珠・虎眼菩提珠はネパール国境付近で産出されるマルナツメです。山岳密教において、希少性が信仰の遺風となり受け継がれ、菩提として尊ばれたことから、菩提珠と呼ばれています。

 市販されている実は2種類あり、上等の肉厚の有る深く艶の出る物と、見た目に薄っぽく感じられるものとがあります。加工の際、全ての果実に共通してロスを少なくする為に、さらに、浮き実と重実とを区別するために、浸水検査を行います。弊社ではその工程を経て、肉厚が厚く、加工に耐え深い艶が得られる重実のみを加工し玉として使用します。

 しかしながら、高価で希少性のあるブッダズ・アイは、浮き実でも加工され「インド何々」として、少し安価で販売されています。

 文字通り「アイ」眼の形をしていますが、三つ目・四つ目・五つ目と希少価値が増し、高価になります。特にその中でも天星菩提(五つ目)は何万トンに数蓮(数十個の玉)の片手しか出来ず、予約待ちの状態です。

 鳳眼は2尖頭、鳳眼は3尖頭、龍眼は4尖頭です。中国の現在の分類では4尖頭のものは麒麟眼と呼ぶようです。

●蓮華菩提珠

産地も品種も定かではありません。華僑の貿易商の手によって近年輸入されたものなので、中国産と推定します。形は、文字通り「蓮華座」の形に似ています。希少なものは、蓮華の華が開き始める躍動感・パワーが感じられます。また、二百年ぐらい前の「朝珠」に使われていた形跡は全くないので、やはり希少性が菩提ブッダ・ボダイとして、菩提珠と呼ばしめるのでしょう。

●天竺菩提珠

天竺菩提珠(インド・ボダイジュ)は色々な書物によると、インド原産 クワ科とされていますが、それら文献から察すると、果実としては小さすぎます。また、天竺菩提珠の集積地はチベット国境付近とされます。希少な果実で、直径15ミリ〜30ミリで比較的肉厚のある重量感が感じられるものです。さらに、高級なものは、厚い皮脂があり、最高のものは10ミリ前後あり、その皮脂厚から無垢の珠を抜き出します。本天竺は、貴重品として存在していますが、近年安価で出回っている「天竺」もどきもあります。それらは、中国産の物で、「新天竺」と言い、華僑の貿易商が似て非なる物を捜し当て主流に成っています。星月にも、「砂藤子」と「紅藤子」が有るが如くです。

●天異菩提珠

天異菩提珠は前回お話しました金剛菩提珠のうち、より複雑な稜線を持つものを指します。