山田和義の数珠の話

山田和義 数珠の話(3)数珠玉の研磨と艶出し

 数珠の玉は艶出しすること美しさが引き立ちます。この艶には耐久性も求められるますが、コストのかかる作業となります。いつまでも数珠としての美しさを保つ艶を出すためには手間がかかる作業が必要となります。

 艶出しには次の三種類の方法があります。

1、薬品で磨く=早く磨けますが再度の磨き上げが出来ません。

2、コーテイングする=早く磨くことができコストダウンに成りますが、再度の研磨は不可能です。薬品研磨よりも寿命が短いのが欠点です。コーティングは加圧による浸含加工ですので傷もひび割れも色も分からなくなり、玉の品質を無視した艶出し加工です。

3、共摺り磨き=振動する容器であるバレルに入れた、玉・磨き砂・研磨剤(研磨する玉と同じ硬度で粉砕された細かい材料)により、共磨きすることで時間をかけて行います。この共磨きにより、数珠の表面、さらには穴口も穴中も磨かれます。ガラスはガラスで、水晶は水晶で同質の素材(硬度)で磨きますので時間的には3ヶ日間〜1週間かけて磨きます。

 コストはかかりますが耐久性が強いので念珠など手に触れるものの研磨はこの手法で行います。

 数珠玉の品質は前回で紹介しました穴あけ、穴磨き、今回紹介しました艶出しによって大きく左右されます。同じように見える数珠でも玉の品質には違いがあり、数珠メーカーとしての役割は、数珠玉を単に仕入れるだけではなく、玉の製造工程を管理し吟味された素材を使うことにあります。数珠の価格の差は数珠の玉の製造工程における手間の掛け方により大きく異なることを、専門店の方々には是非ご理解頂きたいと思います。安いから仕入れるのではなく、「玉まで製造内容が分かる製品」を是非販売して頂きたいのです。

 玉の原材料には1級2級との違いがありますが、玉の品質に拘わらずなんでもかんでもでコーテイングすることで手間をかけず安いだけ見てくれだけの念珠玉(ネックレス用)が素人判断によりこの業界に入り込んだものと考えます。前述の通り、加圧による浸含加工によるコーティングは玉(原石)の等級を無視したものです。