山田和義の数珠の話
鉄刀木(たがやさん)はマメ科カッシア属の樹木です。兎に角杢目が特徴的で雲母形、飛白形の様に筆を流したような流線型の柄が広く知られております。原産地は東南アジア(タイ、ミャンマー、インドネシア)で幹幅40㎝を超えるものは希少性があります。熱帯地方では街路樹や庭木あるいは燃料用として使われることもあります。材質は硬く耐久性があり、磨くと美しい特徴の有る杢目の為珍重されますが加工がとても困難です。レッドリストでは「低懸念(LC)」です。
紫鉄刀木は鉄刀木と同様の杢目を持ちますが、同じマメ科ですがミレティア属なので鉄刀木とは属違いとなります。鉄刀木と同様の杢目ですが紫色を濃く有しますのでその名で呼ばれています。ビルマではインダイクと呼ばれ、またタイではケダムと呼ばれる物も有ります。
アフリカ材のウェンジはマメ科ミレティア属の樹木で、アフリカの赤道帯で産出されますが、鉄刀木と似た杢目を持ちます。
《本物こそが大切》
唐木材でも問題なのがフェイク(偽物)の問題です。必ずと言っていいほど偽物が往来します。最初の段階では手抜きから始まり品質が低下し、その反面塗装の技術が発達し薬品と塗装で研磨を省く、どこかで聞いたような話です。宝石も貴石も珊瑚も真珠も銘木までもが 加工商材と成って流通しています。従前の品質で作る国産メーカーは 本来の本物を作っている現状を 多くの方達にご認識頂きなぜ今本物が必要なのかを再考願えれば、安売りに進む業界の歯止めになり業界の信頼向上に繋がると存じます。
私達自身が再度勉強し本物、本質を知ることが希少商材を扱う業界として生産者として生き残れる必須条件ではないでしょうか? 材質を知り、加工法を知り、本質を知りえる努力、「品質は信頼」弊社の社提ですが、改めて身に染みる想いが致します。本物を作る、これはメーカーの責任です。
2022.4.15 UP DATE