山田和義の数珠の話

山田和義 数珠の話(1)数珠の「玉の穴あけ」について

 数珠房を組むことはよく語られますが、肝心の玉の穴あけ、穴磨き、艶出し、中糸の事についてはあまり紹介されることがありません。水晶やメノウなど数珠玉の品質は非常に重要ですので、解説をして行きたいと思います。
 弊社では十月十日に大阪・四天王寺において数珠供養をしておりますが、お預かりする数珠を見ていますと、玉に問題がある製品が数多くあることが分かります。

 今回はまず玉の『穴あけ』からお話致します。糸の強度、切れないということで言えば出来るだけ太い糸を通したいのですが、穴をあける際に色々なリスクが伴います。

1:玉の穴あけについて
 数珠の玉として使われる貴石にはメノウ・水晶など様々ありますが、それぞれの石には硬度があります。現在、穴あけの主流はレーザー加工によりますが、本来は石の硬度によりレーザーの強さを調整する必要があります。しかし現況では一律の強さでレーザーによる穴あけが行われています。
 穴あけは0・5㎜単位で徐々に広げますが1・3ミリの基準まで2〜3回のレーザー加工が必要です。1〜2回であく場合もありますが、硬度の低い玉だと穴あけの後の穴の中が荒い仕上がりになり、次の研磨の際に余計な手間取りになります。
 また高価な原石程、穴あけの際に割れるなど歩留まりが悪くなり、歩留まりの悪さが価格の高さにつながることもあります。そのため、ネックレス用の玉では穴を大きくしないのです。
 穴をあけることは中心に光を取り入れることとなり、色合いを薄くしてしまい品質のランクを落とします。穴をあけて数珠の玉が仕上がるわけですが、玉の価値と数珠の玉であることは相反する事に成ります。玉の中央に穴をあけることは大きなリスクがあると言うことなのです。
 前述した通り数珠の玉(海外製)の場合、A級やB級などの原石ランクによらず、一気に穴をあけ量産します。石の傷もひび割れも関係なく穴あけします。こうして出来上がった安価な玉はコーティング加工され、傷もひび割れも色も加圧による浸含加工され、傷もひび割れも分からなくなります。