山田和義の数珠の話

山田和義数珠の話(26/最終回)瑪瑙(めのう)②

 瑪瑙の主成分である石英は水晶の主成分でもあり、綺麗に結晶化したものが水晶(複合結晶)で、微細な石英の結晶が集まってできたものが瑪瑙です。瑪瑙が多孔質な理由はここにあり、結晶間に無数の微細な穴があるので、例えば火山のそばの温泉に瑪瑙があれば、多孔質な瑪瑙の中に温泉が入り込み、時間をかけて熱されることで、瑪瑙の中の不純成分(鉄分など)が化学反応を起こし、様々な色に瑪瑙は発色します。つまり火山や温泉が天然の焼成炉の役割を果たすのです。瑪瑙の原石は天然鉱物ですのでその色は千差萬別、色々な発色が天然瑪瑙の面白さです。

 瑪瑙は結晶質である水晶や、非晶質の石英ガラスに較べると強靱な塊であり、細工物や置き物、仏具などにも使われます。

 今では科学的に焼き入れすることにより 色の変化を楽しめるように成りましたが、近年では樹脂コーティングすることで、研磨、艶出し、面取り加工を省略して工業製品の如く着色された一律の規格瑪瑙が安価に作り出されるように成りました。

 瑪瑙は石英の塊で、含まれた不純物が化学変化したことにより発色する貴石の総称であり、実に様々な名称があります。 石英分が多ければ半透明ですが、不純物分が多ければ不透明になります。

 瑪瑙すなわち「めのう」は和名ですが、欧米語に置き直し、欧米語から和名に訳す中で、瑪瑙の名称と分類には混乱があります。
 玉髄という呼び方もあります。これはchalcedony(カルセドニー)と呼ばれるもので、石英が集まって出来たものですので、構造は瑪瑙と同じです。
 用語に関しては、カルセドニーを玉髄と訳し、アゲイトを瑪瑙と訳す場合もあります。この他に、オニキス(onyx)という呼び方もあります。これらは全て同じ石英結晶の集合体であるにも関わらず、様々な名称があることになります。山田念珠堂の数珠にもカルセドニーと名付けた製品がありますが、分かりやすく言えば瑪瑙です。

 山田念珠堂では縞瑪瑙(天然瑪瑙)を「カーネリアン」と呼び、ほぼ単一色の瑪瑙あるいは加工染色により単一色に仕上げた瑪瑙を「アゲイト」と呼んでいます。つまり、天然の縞状ものが「カーネリアン」、縞と縞の間の玉髄により縞目の無いもの、または焼き入れ染色を施した瑪瑙を「アゲイト」と呼んでいます。

 天然カーネリアンにはいろいろな呼び名が有り、赤や青、グリーンも有ります。バンデッド・アゲイト(黒白の縞瑪瑙)、サードニックス(紅縞瑪瑙)、モス・アゲイト(苔瑪瑙)、オニキス(平行縞の瑪瑙)、ファイヤー・アゲイト、セイジナイト・アゲイト(針入り瑪瑙)、レース・アゲイト等、地球上の地域や産地により多種に生産されています。

 何れにしましても 加工法は従前の方法の伝統的工法と樹脂コーテイングの簡易な方法の(研磨や艶出、面取りを省いた)海外製品が一般的に出回っています。天然瑪瑙の良さは、その時折々の発色が楽しめる事で、一律のコーティング加工ではその時々の天然の良さは楽しめないでしょう。

 山田念珠堂では、加熱と冷却に時間を十分にかけた加工瑪瑙を用いていますので、色落ちなどがなく、お客様に安心してお勧めして頂けます。