山田和義の数珠の話

山田和義数珠の話(18)桑と桜

 桑は和の銘木の中でも指物などの細工物に使われることでも分かるように緻密で粘りのある用材です。

 最も有名な用材は島桑と呼ばれる伊豆諸島で産出される桑です。厳しい自然の中で育った桑には力強い意思が宿りますが、用材としてはほとんど流通しておりません。用材としては山桑と呼ばれるものが一般的です。
 桑は珠数玉にすると独特の杢目の風合いがあり、それを気に入るお客様もいらっしゃいます。
 桑の中には洋桑と通称される用材がありますが、これはアフリカ材のアサメラであることが一般的です。山田念珠堂ではこの洋桑にたいして、本物の桑という意味で本桑という名称を用いています。




 桜は言うまでも無く桜は日本を代表する花です。平安時代以降では「花」といえば即ち桜のことを指します。

 そして、桜は日本における銘木のひとつです。同じ広葉樹種の中では、欅材のように年輪に沿って導管が走る環孔材に対して桜は導管が不均一な散孔材ですので、桜の杢目はそれほど明確には出ませんが、とても上品な雰囲気の木玉となります。

 

 和の銘木の珠数は桑や桜といった定番の製品の他に、寺院の境内などでの倒木を珠数に仕立てて欲しいというご依頼も多数あります。ですので木種も様々なのですが、しっかりと木玉に加工し、玉に似合った房組のできるメーカーをお選び下さい。